風野 真知雄 「妻はくの一」

妻は、くノ一 (角川文庫)

妻は、くノ一 (角川文庫)

平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬は、三度の飯より星が好きという藩きっての変わり者。そんな彦馬のもとに上司の紹介で美しい嫁・織江がやってきた。彦馬は生涯大切にすることを心に誓うが、わずかひと月で新妻は失踪してしまう。じつは織江は、平戸藩の密貿易を怪しんだ幕府が送り込んだくノ一だった。そうとは知らず妻を捜しに江戸へ赴く彦馬だったが…。人気著者が放つ「妻は、くノ一」シリーズ第1弾。


物語の始まりという感じかな。冒頭の静山のエピソードが何に繋がるのかも書かれていないし、彦馬と織江の一月だけの結婚生活もちょっとしか書かれていないので、なぜ織江も彦馬もそこまで互いを恋うのかがわからない。

それでも、星空オタクで武芸一般苦手な武士と、凄腕くの一の物語という実に魅力的な設定で読ませてくれる。彦馬の知らないところで織江が助けてるところが中々いい。

彦馬も武芸は苦手だけど、誠実で知的で優しいところが好感持てる。

作中の謎解きがメインなのか、静山の動きがメインなのか、はたまた彦馬と織江の関係がメインなのか、イマイチ掴みきれない第1弾だった。おかげで2作目も読んでみたくなった。