女魔法使いと白鳥のひな



女魔法使いと白鳥のひな

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書評


Kinuko.Y.Craftさんの表紙がすばらしく美しいです。うっとり。「本が好き」さんに頂いた本です。

「道の民」の子ども達に伝えられてきた遊び歌に秘められた「ロウ王国」をゆるがす鍵。愛する人を助けるために、取引に応じたコールが見つけたものは...


黒髪ぞろいの「道の民」の少年コールは、他の人々とは異なる淡い色の髪をしていた。曽祖父の血を受け継いでいるというその髪のおかげでコールはいつも少し「異質」であった。「道の民」とは、ジプシーのような人々で太陽や星の動きと共に移動する人々。あるとき、両親とは異なる旅をすることにしたコールは仲間達とともに分け入った南の沼地で囚われてしまう。まるで魔法にかかったように、世界からさまよい出てしまったようにいつまでも目的地に着くことができない。そのとき、霧の中にどこからともなく黒い小さな家があらわれる。四つの黒い壁、金色の屋根、金色のまぐさ・・・。コールは、あの家こそがこのとらわれの世界から抜け出す扉だと気付く。そしてその黒い家の扉をくぐる。必死で引き止める思い人ティエルを残して...

黒い家の中で、コールに取引を申し出たのは、鋳掛屋。コールにある物を探すのと引き換えにティエルを返してくれるという。仲間と思い人を取り戻したいコールは、彼の要求をのみ、探求を始める。






「道の民」に伝わる遊び歌に秘められた星座たちの物語が鍵となり、コールを導いていきます。

第1部はコールの視点から物語が始まる。普通ファンタジーだと、王国についてとか設定について、それなりにわかるように作者は書いていくものですが、マキリップは常にずどんと読者をマキリップの作り上げた世界に突き落とします。

「冬の薔薇」などは、このマキリップ節も心地いいです。しかし、今回は、よく理解できない部分が多くて、読み通すのが少し辛かったんです。文章の中には、いつものマキリップの幻想的な美しいきらきら光るイメージのかけらがちりばめてあってうっとりとするのですが、物語がうまく自分の中で流れてくれませんでした。2作目を読みましたら、とてもわかりやすい訳文でした。1作目の原作は、訳文のように難解な文体だったのだろうと推測いたします。



でも、マキリップの物語にいつも流れているちょっと怖いところとか、何層にも重なっている時などの描写はしっかり堪能できました。

続編もあるので、それも読めばもっとはっきり理解できるかもしれませんね。