太陽神の司祭

共通の脅威を前に、宿敵ヴァルデマールと手を結ぶことになったカース国。そのカースからの使節に同行した書記官カラルは、これまで信じてきたことがことごとく覆され混乱していた。この親切なヴァルデマール人が“白い悪魔”と怖れられる“使者”なのか?一方ヘイヴンでは、女王、テイレドゥラスの“達人”、そして鷲獅子までもが使節を待ち受けていた。待望の新三部作開幕。

ヴァルデマール年代記の最新邦訳です。年代記については東京創元社「ヴァルデマール年代記の世界へようこそ!」で詳しく解説されていますので、ご覧ください。



この本は「ヴァルデマールの嵐」三部作の一作目になります。年代記の中では「ヴァルデマールの風」の直後譚なので、そちらを読んでいると2倍楽しめます。更に言うと「女王の矢」タリアが絡んだ話題も出てくるので中央公論新社から出ている「女王の矢」シリーズも読んでいると3倍、また現在平行して訳されている「最後の魔法使者」シリーズも読むと4倍楽しめますね。欲を言うと年代記全て読んだほうが...(きりがないですね)

固有名詞等が独特なので、初めて読む方は戸惑われるかもしれませんが、この本から読み始めても問題なしです。

主人公は長くヴァルデマール国の敵国とされてきたカース国の若き書記官カラルです。共通の敵である帝国に対して、同盟を組むことになり、カラルは師ウルリッヒとともにヴァルデマールにやってきます。初めて見るヴァルデマールの風景、歴史、自国の人々に比べるとがさつな感じのヴァルデマール人たち。書記官として常に周りをよく見る訓練をしてきているカラルの目で、わたしたちはヴァルデマールを理解していきます。



ですから、シリーズ初読みの方も大丈夫ですよ!

辛い過去を持つアン=デシャとの友情、帝国との戦い、ふいに襲ってきた魔法波を防ぐための戦い、など主人公カラルが異文化の中で、ときには望郷の念にかられながらも成長していく物語です。カラルは誠実で、勤勉で、師を心から尊敬しています。心から彼を応援したくなりますよ。







太陽神の司祭 (上下巻)

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書評