マタタビ潔子の猫魂(ねこだま)


マタタビ潔子の猫魂(ねこだま)

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書評/

第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作
妖魔退散エンターテインメント 

地味で無口な28歳派遣社員・潔子。職場でいやがらせに遭うが、アパートで潔子を待つ飼い猫は、実は「猫魂(ねこだま)」なる憑き物! 
潔子の怒りが頂点に達したとき、猫魂と一体化して美女に変身! 
いやがらせしてくる敵の憑き物に仕返しします。
妖怪×仕事人のコミカル・アクション!

●主人公と猫のコンビが大活躍。ふてぶてしくも愛らしい妖怪猫。
●はたらく20〜30代なら共感必至の主人公。
職場のストレスを、憑き物の力であざやかに「仕返し」します!


著者名は「あけの・かえるこ」さんとお読みするそうです。

潔子の飼い猫メロは、普通の猫ではありません。彼は猫魂です。師匠とあがめる猫又の先生もいますが、彼はあくまで猫魂(ねこだま)で、憑き物を食べて生きています。メロには色々な特殊能力があるのですが、それは是非本をお読みください。

彼は潔子の家に代々仕えてきたのですが、次第に家も廃れ、いよいよ潔子が最後の一人となってしまいます。ところが、この潔子。地味で無口、おまけに人に嫌とは言えないストレスがたまりまくる性質です。我慢に我慢を重ねて、彼女のストレスが爆発すると、猫魂(ねこだま)の出番となるわけです。


本書で出てくる憑き物は、潔子の身辺にいるちょっと嫌なヤツ。この嫌さ加減が実にうまく描かれていて、共感しますねえ。私の苦手なあの人にも、何か憑き物がついているのかも、と思ってしまいます。

潔子は、何だか頼りないのですが、メロの語り口が皮肉に満ちていて、潔子につっこみしまくりで面白いです。皮肉屋なのに、潔子に冷たくされると家出なんかして可愛いです。メロの先生もいい味出してます。今回の憑き物はみんな小物さんだったので、もっとガンガン、メロと潔子が活躍するタイプのものも読んでみたいです。せっかくの面白い設定ですから。続編、期待しています。