エルサレムから来た悪魔


エルサレムから来た悪魔 上下巻

Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

本が好きさんからいただきました。ありがとうございます。

1171年、イングランド。ある巡礼の一行が、ケンブリッジの町への帰途にあった。修道士や修道女、十字軍の騎士たちなどからなる面々の中には、恐るべき連続殺人者もいる。殺人者が町で繰り返してきた凶行は、いまや王国そのものを揺るがす事態にまで発展していた。国王ヘンリー二世がシチリアから招聘した、優秀な調査官シモンと、検死の術を修めた若き女医アデリアは、この難事件を解決できるのか。CWA最優秀歴史ミステリ賞受賞作。


主人公はシチリア国王から派遣された若き女性医師アデリア。女性も学ぶことを認められたサレルノ医科大学で学んだ優秀な女性だ。


イングランドでは、連続幼児殺人事件が起こり、その犯人としてユダヤ人たちが槍玉にあがっていた。報復としてユダヤ人夫妻が殺され、ユダヤ人たちは襲撃を恐れて城に隔離されている。その事件解決のため、検死の知識をもつ医師を派遣することになったのだ。イングランドでは女医などは当然存在せず、ともなれば魔女とそしられてしまう。そのため、マンスールという召使を医師に仕立て、アデリアはその助手としてふるまうことになった。もう一人の同行者は優秀な調査官シモン。3人は犯人を見つけるべく調査を始める。



暗い事件ながらも、登場人物が魅力的で最後まで一気に読みきってしまいました。修道院長は、人間味があって中々渋いおじさんだし、とーっても臭い犬も味があります。サレルノから来たある意味箱入り娘のアデリアの成長も見所です。子どもたちの検死をするアデリアは、子どもたちの検死や事件の進展とともに自らも心を痛めていきます。精一杯自分の感情と子どもたちの死とを切り離そうとするのですが、どうしてもそうすることができません。捜査は進展していき、アデリアも成長し、大切に思える人たちが増えていきます。恋愛も経験します。同時に自分たちの身も危険にさらされていきます。事件の解決は、あれって感じでしたが、意外な部分もあって面白いでした。事件は陰惨です。明らかになった真相も醜悪。でもその後の教会のやりようが一番酷いです。でも、いかにもありそう。。。。

続編が出たら是非読みたいです。