ゴースト・ドラム スーザン プライス

ゴースト・ドラム―北の魔法の物語 (Best choice)
ゴースト・ドラム―北の魔法の物語 (Best choice)

著:金原 瑞人 , 他|出版社:福武書店|発売日:1991/05|単行本|4828849521|

黄金の鎖で木につながれた猫が語る魔法の物語。不思議な太鼓,ゴースト・ドラムのことばを解し,ニワトリの足を持つ家に住む,若い女魔法使いチンギスが,ある日叫びを聞きつけた。叫んでいたのは,皇子サファ。生まれて以来,塔の小部屋に閉じ込められていた。死の匂いがいたるところでし,理不尽な死に恐れおののく人々。暗くて重くてどんよりとした世界で唯一光を放つ魔法使い。しかしその魔法使いチンギスでさえ不死ではなく,死んでしまう。残されたサファは・・・・

荒涼とした北の国を舞台にくり広げられる,荒々しい魔法の物語。1987年,イギリス・カーネギー賞受賞作。"

児童書ではあるけれど甘みの一切ない物語だった。おもしろいなあと思ったのは,魔法使いの家が「何か」の足の上に建っていること。たとえばチンギスは,師匠から「ウロコの生えたニワトリの足」の上に立つ家を譲ってもらうし,他には猫の足,犬の足なんかの生えた家もある。それらは,驚くべき速さで走り,用のないときには散歩もする!

さて,魔法について。

この物語の魔法は,とても納得のいくものでできている。「音楽と言葉」だ。

「言葉は,目を,耳を,鼻を,舌を,肌をあざむくことができる。音楽には言葉も文字もいらない。音楽とは心の中に住む,心の言葉であり,心は一瞬にして理解する。魔法使いが音楽に言葉をのせれば,心を持つもの全てを意のままにできるだろう。。」とは,チンギスに教える老婆の言葉。これらの魔法を磨くことは,下等な魔法から自らを守ることになるのだそうだ。これって,魔法でなくてもいえることだよね。