ゴムラスの月          アラン・ガーナー

ゴムラスの月
ゴムラスの月

著:アラン・ガーナー|出版社:評論社|発売日:1981/01|単行本|4566010821|

「ブリジンガメンの魔法の宝石」の続編。前回,スーザン・コリン兄妹が,退けた魔女モリガンの台頭を知り,再びキャデリンらと一緒に闘う。この物語でもスーザンの腕輪が大きな鍵を握り,小人やアインヘリアー,ハーラシングといった民間伝承に題材をとった幻想的な登場人物が物語を盛り上げる。

スーザンは,行方不明になり発見されたときには,茫然自失。意識もなかった。こんこんと眠りつづけるスーザンをよみがえらせるため,コリンは古い魔法に頼ることにするんだけど,この辺の描写がとても美しい。


「ほらっ!美しい音だ。だれかが呼んでいるような,そして氷の鈴がなっているような!あっ!あそこ!あの小道だ。」

とつぜん,森じゅうにビーコン(塚)の上一面に,あわい光りの線が走り,銀色の糸の網となり,その一つ一つがきらきらと輝き,ゆらいだ。・…

こうして,コリンはスーザンのために古い魔法の世界に入りこみモサンの花を探し出す。他にも古い魔法が世界を救うために頻繁に登場する。私の大好きな現実の世界と妖精(魔法)の世界が薄絹のように重なり合っている物語。今回はそれプラス古い魔法の世界も重なっているので,更に好み。
天沢退二郎さんが好きな人にはオススメ""