ニューヨークの魔法使い シャンナ・スウェンドスン

ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所>
ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所>

著:シャンナ・スウェンドスン|出版社:東京創元社|発売日:2006/07/11|文庫|4488503020|

わたしケイティ・チャンドラー、自慢じゃないが、恐ろしく普通の女の子。テキサスの田舎から出てきてほぼ1年になる。
 ニューヨークは変わった街だとさんざん聞かされてはいたが、これほどとは思わなかった。背中に妖精の羽をつけた若い女性や耳のとがったエルフ(?)、教会の屋根にいたりいなかったりするガーゴイル……。いまだに毎日が驚きの連続だ。でも、ニューヨーカーたちは振り返りもしない。変なのはこの街? それともわたし?
 ボーイフレンドはできないし(実はハイスクール以来、ちゃんと男性とおつきあいしたことがない)、会社の女上司は二重人格とくる。週末ごとのブラインドデートにも、ヒステリー上司の言うなりになるのにもいい加減もううんざりだ。かといって、このまますごすごと故郷に戻るわけにもいかない。
 ところがそんなある日、思いもかけず素晴らしい転職の話が舞い込んできた。え? こんな平凡このうえないわたしにヘッドハンティング? でもちょっと待って、うまい話には必ず裏がある。本当にこの話大丈夫なの……""

おもしろかった!なるほどそういう切り口もあるのね,という今までにない魔法世界の構築パターンでした。

まず,ケイティは,全く魔法力がない。一般的に人間は,わずかな魔法力を持っていて,そのためにめくらましや魔法をかけられてしまう。魔法使いももちろん魔法力を持っているわけだから,彼らも同じように魔法にかけられたり,めくらましにあったりする。しかし,ごくごく普通の子ケイティは,全く魔法力がないという珍しい子。魔法力を全く持たないために,めくらましにも魔法にも免疫ができている。それは,魔法使いにとって実にありがたい存在。契約書でめくらましをかえてあるのかどうか,偽者を本物に見せる魔法がかけられていないかなど免疫者がいればわかるわけだから。。というわけでケイティは,魔法力を全く持たないがために,魔法に関ることになるんである。


魔法使いの株式会社が,実によくできていて面白い。ケイティは,明るくて素直で等身大の女性で気骨もあります。すぐに赤くなるシャイなオーエンとのロマンスも期待できそうです。大人のライトファンタジーで,明るい気分で読み終えられます。魔法版『ブリジット・ジョーンズの日記』は余計です。もっと明るいです。続編が愉しみです。