太陽の戦士 ローズマリ・サトクリフ

太陽の戦士
太陽の戦士

著:ローズマリ・サトクリフ , 他|出版社:岩波書店|発売日:2000|単行本|4001108267|""

ドレムの住む村は、金色の人達と、混血の人達とで明確に区分され、また戦士と羊飼いにも、男と女にも厳密な隔たりがあった。「わかものの家」に入るまで、一緒に遊んだ友達も、「わかものの家」に入ったときから、区分されてしまうのだ。
サトクリフをきちんと読んだのは初めてで、のめりこむところまではいかなかったが、ドレムの住む時代の描写が実に丁寧で目に浮かぶようだった。
生まれつき、片腕が不自由なドレムは、戦士になれないだろうと言われていたが、必死で努力しあと一歩と言う所までかけあがる。しかし、成人になるための「オオカミ殺し」で思いがけず失敗してしまう。「わかものの家」から出、戦士の家を出て羊飼いの見習として暮らさなければならない。その絶望。孤独。ドレムが、いかに成長するのかが描かれた物語。

特別に魔法があるわけでも、劇的な展開があるわけでもないのに、ずっしりとくる物語だ。肌の色、男女、戦士と羊飼い、厳密に定められた成人の儀式。現代の私から見ると差別の只中に暮らさなければならないドレムや、ブロイにイライラすることも多い。それでも、変えようのない世界の中で必死に生きる人々を描かれている。
2001-07-22