花火師リーラと火の魔王    フィリップ プルマン

花火師リーラと火の魔王
花火師リーラと火の魔王

著:フィリップ プルマン|出版社:ポプラ社|発売日:2003/08|単行本|4591078108|

「いまから千マイルもむかしのはなし・・・」
と始まる物語手プルマンによる短編。花火師の娘リーラが父親の反対を押し切り花火師になるための修行に出る。リーラは腕のいい弟子なのに,父親が考えているのは娘にいい結婚相手はいないかということだけ。リーラは火の魔王に会いに行くのだ。短いのですぐ読み終わるが,とっても楽しい作品。でも,それだけじゃないのが,すごい。作中の人物はみんな何かを求めてる。""

私が心引かれたのは,リーラが旅の途中で出会うランバシ一味。にわとり商売から川タクシー屋,強盗と仕事を転々とする一味。とってもおかしい一味なんだけど,彼らも自分探しをしているんだよね。それから,白い象。彼も悩める一人。
あとがきで訳者が述べているのを読みなるほどと思ったこと。
「プルマン本人は,自分はファンタジー作家ではないと力説しています。どういうことでしょうか。プルマンにとって,この世でもっとも大切なのは,「物語」だそうえす。物語こそ,人を人たらしめるものであり,そのことを素直にうけとめるのは大人ではなく子どもたちなので,プルマンは子どもの本を選びます。そして,プルマンの作品の主題は成長して大人になるとは,どういうことなのか」。このきわめて現実的な主題を扱うにあたり,あくまで方便として,人間について,より自由に語ることのできるファンタジーのメカニズムを使うのです。だから,自分は純然たるリアリストなのだと,プルマンは強調します。」
読みながら感じたのはそういうことだったのだ。",