バビロンまでは何マイル/ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

バビロンまでは何マイル (上)
バビロンまでは何マイル (上)

著:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ|出版社:東京創元社|発売日:2006/03/22|単行本|4488019412|





バビロンまでは何マイル (下)
バビロンまでは何マイル (下)

著:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ|出版社:東京創元社|発売日:2006/03/22|単行本|4488019420|

魔法管理官ルパート・ヴェナブルズは、内心うめき声をあげた。旧ユーゴと北アイルランドの平和に奔走して帰ったばかりだというのに、今度は担当世界のひとつコリフォニック帝国の非公開の法廷への立ち会いだ。いやなことは重なるもので、家に戻ったとたん、マジドの師スタンが死にかけているという知らせが…。てんやわんやのコリフォニック帝国と、地球での新人マジド選び、ふたつの世界での難題を同時に抱え込んだルパートの運命やいかに?英国ファンタジーの女王が贈るとびきり愉快な物語。『花の魔法、白のドラゴン』(徳間書店刊)前日譚。""

この物語の中で∞記号の世界群と呼ばれる世界群は,魔法に否定的な領域と肯定的な領域が大体半分ずつくらいで構成されている。地球は当然否定的領域。世界にはマジドと呼ばれる魔法管理官がいてその数は常に一定の数を保つことになっている。マジドの使命は世界を"正域"つまり,魔法に肯定的な方向へ向けること。

ルパートの今回の任務は,師スタンの後継者選び。後継者名簿を参考に早速候補者に会おうとするのだが,中々うまくいかない。そうこうしているうちに,自分の担当区域であるコリフォニック帝国に紛争が持ち上がった。。

しょっぱなからジョーンズ節バリバリ。前置きも何もなく,いきなりわけの分からない世界に読者を放り込み,きりきりまいさせてくれる。たくさんの世界が存在し,未だ拡大しているのかもしれない世界群。帝国に所属する更に異なる世界たち。眩暈がしそう。

初めのうちはマリーが好きになれなくて入り込めなかった。でも,FTコンあたりからは鼻につかなくなって,楽しめた。ニックのことを"自己中心野郎"と思いながらも手を貸さずにはいられないところとか,父親の癌をいつも心配しているところなど,マリーも結構やさしいのですよ。

童謡やおまじないなどがうまく織り込まれて,とっても面白かった。これでやっと『花の魔法、白のドラゴン』が読める。""