騎士の息子 上/ロビン・ホブ

騎士(シヴァルリ)の息子 上 <ファーシーアの一族>
騎士(シヴァルリ)の息子 上 <ファーシーアの一族>

著:ロビン・ホブ|出版社:東京創元社|発売日:2004/12/18|文庫|4488562019|

〈技〉とよばれる不思議な力を持つ遠視者一族が治める六公国。その国に継ぎの王の私生児として生まれた男の子がいた。出自ゆえに庶子(フィッツ)と名付けられたその子は、祖父である国王の命令で密かに暗殺者としての教育を受ける。折しも長年の宿敵外島人の、赤い船団による沿岸地域への襲撃が激しさを増し、六公国は次第に疲弊してゆく。王家の影として生きる宿命を背負った少年の成長と試練。魔法と陰謀渦巻く異世界ファンタジーが開幕。

あとがきを読むと女性作家さんメガン・リンドーム(Megan Lindholm)の別名だそうです。ファンタジー作家として,有名らしいのですが初めて知った作家さんです。<ファーシーアの一族>の第1部。

さて,物語。暗殺者としての教育を受けるというあたりは,レイルとちょっとかぶるところがありますね。(レイルは少女でしたが)。レイルは苦手な本だったので,違う展開になってくれることを切に望みます。 世継ぎの王の庶子として生まれた少年の話で,彼が老人となり,当時を思い起こして書き記す,という文体になっています。物語は全体的に暗い,重い^^;。でも,面白いです。

6 歳で親元から引き離された少年は名前すらなく,「坊や」や「フィッツ(庶子の意味)」と呼ばれています。歓迎されない出自のため,温かい愛情に包まれることなく育つ彼は本当に不憫。特に初めのころのわんころとのエピソードには涙が出ます。暗殺者としての教育を受けた彼がどんな人生を歩んでいくのか,嫌いな展開(レイルみたいな)だったらどうしようと思ったんですが,その心配はなさそう。今後が楽しみです。

さて,登場人物。みんなどこか屈折しているところがいいです。公明正大な完璧人間は皆無。ブリッチ,シェイド,ペイシェンス,そしてフィッツの父親などなど。モリーもいいなあ。しかし,中でもヴェリティがいいですー。ちょっと鈍感で,軍隊上がり。おまけにフィッツに時折見せる優しさがいいです。