狐笛のかなた/上橋 菜穂子

狐笛のかなた
狐笛のかなた

著:上橋 菜穂子|出版社:理論社|発売日:2003/11|単行本|4652077343|

ひとの思いが聞こえる「聞き耳」の才を持つ少女・小夜が幼い日に助けた子狐は、恐ろしい呪者に命を握られ「使い魔」にされた霊狐だった。森陰屋敷に閉じ込められた少年・小春丸、そして小夜と霊狐・野火。彼らの運命は?

ああ,いつものことながら,あまりにも好きな本だと冷静に感想が書けません。
小夜も野火も小春丸も花乃も,みんな一生懸命に生きているのが本当に伝わってきて,涙が溢れた。花乃と小夜の一途さ,優しさ,強さが物語を支え世界を支えている。それを確かに伝えてくれる上橋さんの凄さ。しばらくぼうっとしてしまいました。

上橋さんの作品はいつも1文字目からぱあっと物語の世界が眼前に広がる。まるで,映画を見ているような,それどころか自分がそこにいるような感じがしてくる。だから最後のページを繰り終えた途端に,ほーっと脱力してしまう。
登場人物一人一人が,大切に大切にえがかれていて,一人一人の背景にまた違う物語が見えてくるほどだ。小春丸は,どうなったのか。大朗の過去にはどんなことがあったのか。鈴にはどんな人生があったのか。久那や玉緒は・・・

少しずつ少しずつ読もうと思っていたのに,読み始めると一気に物語に心を持っていかれてしまい,読了してしまった!ああ,もう少しこの世界に浸っていたかったのに。再読して,もう少し冷静になったらまた感想を追記します。

白井さんの画も素晴らしい。表紙がすごく綺麗

http://www.rironsha.co.jp/tokushu/koteki/index.html