夏の王 O.R. メリング

夏の王
夏の王

著:O.R. メリング|出版社:講談社|発売日:2001/07|単行本|4062108291|

「妖精王の月」の後日談。「上王」フィンヴァラが人間界へ行ってしまった為、妖精界、人間界に様様な波紋が広がる。

妹を事故で亡くしたローレルは、妖精と取引し「使命」を果たした末に妹と会わせてもらうことになる。しかし、妖精とは気まぐれで彼ら独自の価値観で動くもの。ローレルは、欺かれたり裏切られたりしながらも、妹に会いたいという強い信念で「使命」に取り組む。「鳥の王」や「夏の王」「海の女王」など、現実と妖精界を旅しながらローレルは、やがて隠された真実へと近づいていく。

重なり合い、影響し合う2つの世界。美しい描写。流麗な翻訳。
中でもラスト部分の「夏至のかがり火」の描写は心に残った。
訳者あとがきにも書かれているように「贖罪」の物語だ。
妹を「死なせてしまった」と後悔している姉ローレルが、どのように使命をやり遂げていくのか。「全てのことの中心に愛があった」と最後にローレルは述べているが、そうこれは愛の物語でもある。
海賊の女王や鳥の王など魅力的な場面が出てくるが欲を言えば、もう少しその世界を愉しみたかったなあ、この枚数では仕方ないが。
2001-08-06