歌う石 O.R.メリング

歌う石
歌う石

著:O.R.メリング|出版社:講談社|発売日:1995/12|単行本|406207933X|

自分は、何者なのだろう。これって、誰もが考えることではないかしら。あるいは、何者になるのだろうって。

ケイは、捨て子でいろんな里親家庭を回りひとりでやってきた。また、時々幻想を見ることもあり、悩んでいた。自分のルーツがわからず、いつも「自分は誰か」を考えている。そのケイの元に差出人不明の「不思議な本」が届く。古アイルランド語で書かれたそれらの書物はどれも古代の石碑を巡る話が書かれてあった。
ケイは、その話に惹かれるようにアイルランドへ旅立つ。
アイルランドで、石碑「歌う石」を探すケイは、不思議なことに過去の世界へタイムスリップしてしまう。「歌う石」に導かれて辿り着いたケイはアエーンという少女と出会う。
アエーンは、記憶をなくしおびえていた。ケイとアエーンは何故出会ったのか。謎の書物が伝えるものは何か。2人は賢者フィンタン・トゥアンを訪れ、助けてもらうかわりに古えの4つの宝を探すたびに出る。
2人の運命とトゥアハ・デ・ダナーン族、フィルボルク族、ゲーディル族、フォルモール族の戦いが複雑に絡み合い、壮大な運命のタペストリーを織り上げていく。

女魔術師となってアエーンを助けるケイ。かっこいいんですよ。アエーンがまた、赤銅色の金髪だそうで血気盛ん。出てくる男性がまた素敵。カハル、アマージン。
アエーンとアマージン、ケイとカハルのロマンスもまたいいんです。物語もいろんなエピソードが収斂してひとつの結末に至るところが素晴らしい。ケイの物語は続きがありそうな予感を持たせて終わっているので、続きが読みたいなあ。出てるのかしら。

メリングの「妖精王の月」「夏の王」「歌う石」の三作を読んだが、これらの中では一番好き。あとは「ドルイドの歌」のみ。