三月は深き紅の淵を 恩田 陸

三月は深き紅の淵を
三月は深き紅の淵を

著:恩田 陸|出版社:講談社|発売日:1997/07|単行本|4062087499|

鮫島巧一は、会長が主催するという「春のお茶会」に出席させられることになった。ところがそこには、何やら妖しげな人々が巧一を待っていた…。読む者を不思議な世界へと誘う、4つの物語。(帯)その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。かつて一度でも、むさぼるように本を読む幸せを味わったことのある人に""

「待っている人々」「出雲夜想曲」「虹と雲と鳥と」「回転木馬」の4編からなる物語。どれも「三月は深き紅の淵を 」という幻の本に関わる話で,ちょっとずつずれている。このずれが何ともいいんだなあ。
どれを読んでも,恩田作品を更に読みたくなる。しばらく恩田さんのものを読んでいなかったんだけど購入してはあるので,まとめ読みができて幸せ。これから「三月シリーズ」をがーっと読むのだ。


子どもに話をしてやるというのは,なかなかいい手段だ。敵の注意をそらさずに引っ張り続けるには,相当面白いストーリーであることを要求されるだろう。児童文学は,子どもを産んだ時の修行にとっておこう。p295
という件があって,「もしかして恩田風児童文学がいつか読めるかも!!」などとちょっと期待してしまったのだった。

おまけ:「出雲夜想曲」には,先日読んだばかりの「禁じられた楽園」の主要人物烏山響一の作品が一行だけ出てきて,おお!っと喜んじゃった。ファン心理だのお。とにかくファンにはおいしい一冊。
資料http://tacet.milkcafe.to/ondariku/world.htm