=“骨牌使い(フォーチュン・テラー)の鏡"" 五代 ゆう

“骨牌使い(フォーチュン・テラー)
“骨牌使い(フォーチュン・テラー)"の鏡

著:五代 ゆう|出版社:富士見書房|発売日:2000/02|単行本|4829174129|

そこは“祖なる樹木"と“旋転する環"によって生まれた十二の“詞"によって語られた世界。“詞"はたがいに響きあい、その調和によって世を存続せしめる。それを見守り、“詞"そのものをまとめるのが“骨牌"の王国・ハイランドの王であり、その補佐たる十二人の“骨牌"たちである―。河口の町、ハイ・キレセスに住む市井の占い師・アトリは、“斥候館"の女主人、ツィーカ・フローリスの寵愛を受けている。館には年少の友人、モーウェンナがいて深い愛情に満たされてはいるが、亡くした母の面影を追いながら毎日を過ごしていた。館の“花の祭り"当日、“骨牌"を使った占いの最中、アトリを襲った悲劇がすべての物語を語りはじめる。運命的に出会った青年、ロナーに告げられた言葉―「おまえは“十三番目"なんだ」。“十三"は世界に大きな変動が訪れるとき現れるという。折しも“詞"に反逆する“異言者(バルバロィ)"たちが蠢き、世界の均衡は崩れはじめていた…。“異言"の悪意がアトリを襲う―。“骨牌"に翻弄される少女の数奇な運命を描く幻想叙事詩。すべての物語は語られつくす―。ハイ・ファンタジーの大傑作登場。

12の詞によって語られた世界ハイランド。詞を操るものは<骨牌使い>と呼ばれ、寺院で訓練をつまねばならない。しかし、母親から<骨牌使い>の技を学んだアトリは、市井の占い師として生計を立てていた。それで、十分に幸せだった。

しかし、アトリはロナーと出会ってしまう。ロナーとは古い言葉で「さすらい人」を指す。ロナーとアトリの周りで運命の環が回り始める。

独特の言葉が多くて、なれるまでに時間がかかった。< >で囲われた言葉が多いのは、あまり好きになれないので。

過去の糸と、現在の糸、そして未来の糸が紡がれていくところはおもしろかったし、公女ファーハ・ナ・ムールの悲恋から産み落とされた運命もまた切なかった。

ただ、所々で「ん?それはまた唐突な」というところもあって、ちょっとぎくしゃくした感もあり。505ページでは足りなかったのではないだろうか。

でも、読後は「ああ。おもしろかった。」で、とても愉しめる本。この世界は好きだし、様々に影を持つ<骨牌>の物語をもっと存分に語って欲しかった。もっとくわしーく読みたかった!

2001-09-07