プラチナ・ビーズ 五條 瑛

プラチナ・ビーズ
プラチナ・ビーズ

著:五條 瑛|出版社:集英社|発売日:1999/02|単行本|408775247X|

人的情報収集活動(ヒューミント)のプロである葉山は、ある日事情聴取した「対象者」の言葉の中にひっかかりを覚える。北朝鮮で何か新しい動きが始まっているのではないか?アメリ国防省の情報組織、通称「会社」の上司「エディ」の指示で葉山は調査に乗り出す。同じ頃、脱走した米兵の惨殺死体が発見される。日系アメリカ人である横須賀基地NISC(海軍調査軍)勤務の坂下も、同じく調査を開始する。彼らの聞き取り調査の中に、何度も顔を出す謎の男。北朝鮮の有力者と対等に話し、ブランド品をさりげなく着こなす長身の優雅な男。彼の正体は?そして、謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは?日本をターゲットに水面下で展開している大がかりな作戦の全貌が、葉山の前に次第に明らかになっていく。米ソ冷戦構造崩壊後の迷走する北朝鮮アメリカの諜報戦争を軸に、否応なくそれに巻き込まれていく人間たちの人生模様。そして、国家とは、祖国とはいったいなんなのか。今世紀最後の大型新人が描く、渾身のエスピオナージ。""

スパイ物というとやはり米露とか,英米ものを考えがちだが,日朝ものだとは。1999年に出ているわけだが,その頃ってどれくらいの情報が出ていたんだろう。最後に但し書きで「これはフィクション」と書いてあるが,実在人物名,国名をばんばん出しているんで読んでいるこちらが心配になる。実は勤務地のすぐ近くには拉致被害者の方の家族が住んでおられて,拉致場所も同じくよく知っている場所で実に身近な問題だ。人事ではない,と思う。いろいろなことを考えさせられた本だった。