キャノン姉妹の一年 ドロシー ギルマン

キャノン姉妹の一年
キャノン姉妹の一年

著:ドロシー ギルマン|出版社:集英社|発売日:2004/02|文庫|4087604543|

ニューヨークの派手な社交生活を捨て,トレイシーは妹のティナを迎えにいった。叔父が死に,二人に湖畔の家を遺してくれたのだ。姉妹は父母が突然なくなった後,別々に親戚に引き取られていた。ティナは姉と違い,全寮制の学校を転々とし,友達もできず寂しい暮らしをしていた。寒い二月の湖畔。知る人はいない。けれど姉妹は知恵を出し合い,少しずつ田舎の生活に踏み出していく。""

初めの部分でトレイシーがティナのおかれた状況にあまりに無頓着だったことに驚いた。そんなもんなのでしょうか。ティナは,あまりにも可哀想だよ。
この本は1953年に書かれていて,自分の足で立つことができていなかった姉妹が田舎で自給自足の生活をするうちに,自立していく物語だ。爽やかで読んでいて気持ちがいい。

ミセス・ブリッグスがとても素敵。トレイシーが彼女を評する言葉が印象的だった。
「彼女は喜劇的でもあり,悲劇的でもある。猛々しくもありやさしくもある。気まぐれで誇り高い。けれども正直だ。彼女は不思議に不屈なのだ。」。
ミセス・ブリッグスの生き方からトレイシーは,「行き続けて真正面から立ち向かうこと」を学ぶ。そして愚かな恋に決別し,自分の人生を生き直すのだ。

ドロシー・ギルマンは初読だったのだが,読後が爽やかなので大変気に入った。続けて何冊か読んでみたい。