BIOME―深緑の魔女 伊東京一

BIOME―深緑の魔女 (ファミ通文庫)
BIOME―深緑の魔女 (ファミ通文庫)

著:伊東 京一|出版社:エンターブレイン|発売日:2001/05|文庫|4757704453|

大地の96パーセント以上を覆い尽くす樹海。
人々は樹海の中を切り開き、森との共存を図っていた。その国の1つパドゥーラに、ライカという女森林保護者が現れる。森林保護者とは、森と共存せざるを得ない人々のために森林の生態系を守り、以上繁殖などで人々の生活を危険にさらさないようにするための職業だ。ライカは、領主に頼まれ樹海に異常発生したバンクシワームと、その成虫である蛾を退治することになる。しかし、この異常発生の裏には、領主を恨むある男の壮絶な復讐劇がかくされていたのだ。
イカ達は、否応なくその中に巻き込まれていく。""

物語の舞台である樹海の深さ。濃厚な森のにおいがしてくるような描写。そこに生きる様々な生物。著者が作り出すそれらの生物が、だんだん目に見えてくるようになる。はっきり言って虫嫌いの私には気持ち悪い部分が多かった。それでも最後までおもしろく読めた。
復讐に人生をかけるジジアと、父親の敵を探してやってきたフラン、人に裏切られ、裏切りつづけてきたライカ。この3人を結ぶ縁。いくつにも張り巡らされた線が、次第に形をとっていくのがおもしろい。