どろぼうの神さま コルネーリア フンケ

どろぼうの神さま
どろぼうの神さま

著:コルネーリア フンケ|出版社:WAVE出版|発売日:2002/04|単行本|4872901177|

大人はよく子どもの頃はよかったという。それでまた子どもになることを夢見たりもする。でもほんとに子どもだった頃は,いったい何を夢見ていたんだろう?なんだと思う?早く大人になりたい、そう思っていたんじゃないかな""

こんな一遍の詩から始まる物語。プロスパーとボーは,母親が亡くなり引き離されることになる。プロスパーは寄宿舎へ。ボーはお堅いおばさんの元へ。プロスパーは弟と離されるのが嫌で2人で家出をし,母親がよく離してくれた夢の都ヴェネツィアへ。2人はある子ども達のグループに拾われ「どろぼうの神さま」と行動を共にするようになる。しかし,おばさんはあきらめていなかった。探偵を雇い,兄弟を探し出す。一方「どろぼうの神さま」も危機に…

題名から想像するのとはまるで違う物語の展開にどきどき。「どろぼうの神さま」の正体は早くから分かるんだけど,とても切ない。出てくる子ども達が皆大人に絶望していて,悲しくなる。でも,魅力的な大人達が後半出てきて思わぬ方向へ…
おもしろかったです。ヴェネツィアの描写がとても美しい。何だか魔法が実在するような町なんでしょうねえ。