屋根にのるレーナ /ペーター ヘルトリング

屋根にのるレーナ
屋根にのるレーナ

著:ペーター ヘルトリング|出版社:偕成社|発売日:1997/04|単行本|4037266008|

『郊外にある菜園のあずまやの屋根に,レーナは立った。目をぎゅっとつむる。だめだめ。そんなことでは気がおさまらない。息をとめる。このまま長いこといたら,パンクしちゃうな。』
 レーナの両親は毎日ケンカばかり。弟のラルスと息をひそめて生活している。両親の離婚が決定的となって,レーナとラルスはそれぞれ行動を起こす。
""

うーん,胸の痛くなる物語でした。親のケンカ,言い争いがいかに子どもを傷つけてしまうか。私も離婚者だけに本当に読むのが辛かった。でも,子ども達が受けた傷は忘れてはいけないと思う。
 作者は,淡々と子どもとその親を描く。説教くさいところもないし,お涙ちょうだいもない。でも,胸が痛くなる。作者はレーナの叔母コーラに語らせている。「わたしたち大人は,ときどき,あなたたち子どもにたいして,とんでもないばかなことをするのよね。ばかで,ひどいことを。でもね,わたしたちにもどうしようもないことがあるのよ。」と。コーラのような,『西の魔女が死んだ』のおばあちゃんのような第三者の大人がいてくれることはこどもにとって大切なことなのだと思った。しかし,この中でも教師っておばかです。(1999年9月)