女王の矢 上 マーセデス・ラッキー

ヴェルデマール王国の国境地帯に住む砦族。女は男より低い身分で受身の人生を送るべきとされる一族を嫌う夢みる少女タリアは、13歳の誕生日に嫁入りさせられそうになり、「使徒になりたいの」といって家を逃げ出す。途中で不思議な馬にあったタリアはその〈神馬〉を都まで届ける。王位継承権をめぐって陰謀が渦巻く王国の危機を球うために自分が〈使徒〉の中でも最高の〈女王側近〉に選ばれたとはわからないタリアを待っていたものは。

タルマ&ケスリーものがお気に入りの作家M.ラッキーの1990年に翻訳された作品。「ヴァルデマール王国年代記1」とあるが,この教養文庫からは1しか出ていない。
この「女王の矢(上・下)」は,特殊な<砦族>で育ったタルマが,次第に心を開き成長していく物語。寮生活にいじめもあって,ある種学園物めいた部分もある。
タルマは虐待や差別の中で育ってきたので,人間不信に陥っていて,信じたくても信じられない辛さや,そこからの再生が描かれている。<神馬>と<使徒>との関係もよく分かり,ラッキーの世界を読み解くためには読んでおきたい作品。続編でないかなあ。
NETで調べてみたら続編の情報をGET。破魔矢さんの http://phantasma.onza.net/biblio/index.html。ファンタジーの情報ぎっしりのページ。この中のM.ラッキーのページに掲載されていました。こちら

<2002.05.02読了>