ラジオスター レストラン 寮美千子

ラジオスター レストラン
ラジオスター レストラン

著:寮 美千子|出版社:パロル舎|発売日:1996/12|単行本|4894190265|

高原列車の小さな駅『十一月の町』。ペルセウス座流星群が降りそそぐ『星祭り』の晩、少年ユーリとイオは、流れ星を数えに禁をおかして神聖な『ギガント山』へはいる。そこで出会ったのは、滅びたはずの古生物『牙虎』だった。追いかけるふたり。行きついたところは、謎の博士がいる電波天文台。ブリキの玩具のような旧式のロボットが、にこやかにユーリを出迎える。「ラジオスター・レストランへようこそ」と。電波天文台のほんとうの姿は? 謎の博士の正体は? 物質の記憶と輪廻転生をめぐる壮大なファンタジー。降りしきる時間のかけらのなかでくりひろげられるスピリチュアルな冒険。ぼくはかつて星だった、いつか恐竜だった。これは、いま生きているこの瞬間の自分と、未来の地球への、愛の物語だ。""

異邦人、孤独、時間、波、夢、滅び去るもの、音楽、すべての存在への愛。
この物語を読んで感じた言葉。
なんと表現したらいいのだろう。この物語の感想を。溢れ出すイメージ。愛。
誰もが感じる宇宙、生命の誕生の神秘。それが、星の誕生から始まる壮大な生の循環で物語られる。

屋久島へ旅行に行ったとき、そのあまりにも美しい夜空に圧倒され空恐ろしさを感じたものだ。まるで世界に自分しか存在しないような、宇宙に吸い込まれそうな。
そのときのクラクラした感じ、目眩を「ラジオスターレストラン」に感じる。

一個所だけ、気になったのは、唐突(と私は感じたのだが)に核が出てくるところ。意図もわかるが、ここで敢えて出さなくてもよかった気がする。読者が、地球への愛を十分に感じているので任せてもよかったような。いや、でも書いてあった方がストレートでいいのか。うーん、再読してみよう。しかし、ラグ・・切ない。

小惑星美術館」を読んだときには、ここまでの目眩は感じなかった。しかし、「ラジオスターレストラン」はあまりにも豊かなイメージ、脳裏に広がる情景に本当に圧倒された。何を書いても陳腐な感想になってしまうー。自分の下手さが口惜しい。
是非是非一読を!
大人だけでは勿体無い。子どもにも教えてあげましょう。きっと何か感じるはず。