屍鬼〈下〉 小野 不由美

屍鬼〈下〉
屍鬼〈下〉

著:小野 不由美|出版社:新潮社|発売日:98/09|単行本|4103970030|

村は死の中に弧絶している―息を潜め、闇を窺う村人たち。恐怖と疑心が頂点に達した時、血と炎に染められた凄惨な夜の幕が開く。
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まあ,想像通りのモノが暗躍していたことが分かるわけだが,作者は別に読者を驚かそうとか怖がらせようと思ってこの作品を書いたのではないんじゃないか。そう思える展開。「人」とは何か「生きる」とはどういうことか,そして「神」とは。静信の葛藤・俊夫の行動は勿論登場人物の生き方を通して訴えてくるものがある。上巻の静に対して下巻は動。上巻をがんばって読みきれば,この下巻は一気に読破できるだろう。

長かった・・・重かった・・・好みが分かれる本だろうけど,私は満足。ハードカバーにふさわしいどっしりとした物語だった。読み出したら止まらなくて金曜夜4時半に読了したんだけど,しばらくぼおっとして眠れなかったもんなあ。

「12国記」でも「天帝」とは何だろうと小野不由美は登場人物に何度か言わせているが,この本でも「神」と「人」について書いている。うーん考えちゃったよ。でもうまく言葉にできない。
<以下ネタバレです>
























<以下ねたばれ:反転させてください>

しかし敏夫の行動は怖かった。いくら「屍鬼」がヒトではないとしてもそこまでするんだ・・・といったうすら寒さ。でもヒトを救うためにはっていうのも分かるし,それで分かったこともあるわけだから。うーん。まあ奥さんはウカバレマセンね。でもそこまで行っちゃう敏夫はまだ理解できる。
人間が怖いと思ったのは,やっぱり大勢の村民の存在。ずーっとうわさだけで何の行動もしなかったのに,敏夫に納得させられてからのキレようは本当に怖い。
敏夫は,ちゃんと自分で考え行動してるから,彼の出した結論も受け入れられるけど。あーうまく言えない。でも静信より敏夫の方が好きです。誠心・精神・清新・生新って,「せいしん」で入力するとこんなに思わせぶりな変換が。。。
夏野と昭には生きててほしかったなあ。律子とかも。

2002.09.06 (金)""